マイホームを購入する際に利用する住宅ローンですが、その住宅ローンを利用するには金融機関の審査があります。
今回は金融機関の審査の流れや、事前審査(仮審査)・本審査についてご紹介させていただきます。
目次
住宅ローンの審査は事前審査(仮審査)と本審査の2回ある
家を買う時に利用する住宅ローンには、事前審査(仮審査)と本審査の2度の審査があります。
なぜ住宅ローンの審査を2回に分けて行うのでしょうか。
利用基準を満たしているかスピーディーに判断するための事前審査
住宅ローンの本審査はとても時間がかかります。
実際、事前審査よりも本審査の方が長い時間がかかってしまいます。
もし本審査しかない場合、売主は売買契約を締結し1~2週間待った上で、住宅ローンが通らなかったために契約無効となるリスクを常に抱えなければなりません。待っている期間中、売主や仲介会社は常に販売機会を逸している状態となります。
また、返済が明らかに厳しい買主がいた場合、手間と時間のかかる本審査ではなく、事前審査で短期間にふるいにかけた方が効率は良くなります。
住宅ローンの利用基準を満たしているかどうかを事前審査で確認し、売買契約時に条件を満たせず審査落ちとなるリスクの軽減と、住宅ローンの本審査に進む条件を満たしているかをスピーディーに確認するために事前審査は行われています。
事前審査(仮審査)について
事前審査申し込みのタイミング
事前審査の申し込みは一般的に売買契約締結前、購入したい物件が見つかったときに行います。
なお、物件未定でも行えますが、物件によって借りられる金額が異なるため、物件が決まってから行うケースが一般的です。また購入したい物件が後から見つかった場合、その物件で再度事前審査の申し込みをおこなう必要があります。
事前審査の申し込み方法と審査期間
事前審査の申し込み方法は、購入したい物件が見つかったら不動産会社経由で申し込むやり方が一般的です。ただし、不動産会社を通さずに個人でネットやアプリなどから申し込むことも可能です。
事前審査の審査期間はだいたい3日~1週間ほどで完了します。
事前審査申し込みに必要な書類
お申し込みの金融機関によって異なっていますが、概ね以下の書類が必要となります。
- ・運転免許証やパスポートなどの身分証明書
- ・(給与所得者)源泉徴収票など前年度の年収がわかるもの
- ・(個人事業主)直近3年分の確定申告書の写しなど
- ・健康保険証など家族状況が分かるもの
- ・勤め先の資料
- ・(購入希望物件がある場合)物件資料
- ・(その他に借り入れがある場合)償還予定表や残高証明書
事前審査でチェックされるポイント
年齢
借入を開始するときの年齢、完済する予定時点の年齢の双方を重視されます。
返済完了時点の年齢が高すぎる場合は不利になってしまい、あまりに高齢になる場合は審査条件を満たせない場合もあります。
健康状態
糖尿病や高血圧などの場合、団体信用生命保険に入れません。住宅ローンの融資条件として、団体信用生命保険が必須となっているケースが多いため、その場合は借り入れが出来ないことがあります。
団体信用生命保険については以下のコラムをご参考ください。
コラム:住宅ローン名義人が亡くなったらどうなる?団体信用生命保険の役割について
職業・年収
返済能力があるのかどうかをみるため年収を確認されます。また、安定して年収を維持できるかどうかも重要になるため、勤続年数や転職回数などを確認される場合があります。また、営業職や自営業で月々の収入にばらつきがある場合、不利になる可能性があります。
事前審査で落ちる可能性のある理由
年収が低い・収入が安定していない
借入額に対して年収が低く、月々の返済が難しくなってしまう場合や、年収が高くても月々の収入が一定ではない場合には注意が必要です。
信用情報に傷がついている
信用情報に、過去のクレジットカードやローンの返済で延滞や破産などがありその情報が登録されている、いわゆるブラックリストに掲載されている状況の場合は注意が必要です。
借入時に若い・完済時に高齢
借入時に10代や20代前半と若い場合、勤続年数などが短いため長期にわたる返済能力に疑問を持たれるケースが出てきてしまいます。
また、住宅ローンの返済期間の多くが定年後となる完済時に高齢な場合も、同様に返済能力に支障があると判断されてしまう場合があります。
健康状態が芳しくない
団体信用生命保険の加入条件を満たせない健康状態の場合、金融機関によっては融資条件をクリアできないケースがあります。その場合、団体信用生命保険の加入が必須ではない金融機関を選択する必要があります。
事前審査に落ちたらどうする?
事前審査で落ちてしまった場合、再度条件を見直して事前審査を行うか、別の金融機関に申し込む形が一般的です。その場合、返済期間を短縮する・借入額を少なくするなどの諸条件の見直しは必要です。
また、事前審査は複数の金融機関に同時に申し込むことが可能です。金融機関によって審査基準が異なるため、一つが落ちても他で通る可能性もあるので、いくつかの金融機関に同時に申し込んでおくと効率的です。
本審査について
本審査申し込みのタイミング
本審査は事前審査を通過し、重要事項説明と売買契約を締結した後に申し込みとなります。本審査を通過したら晴れて決済となります。
本審査は事前審査を通過していなければ申し込むことが出来ません。
また、事前審査を通過していても本審査で落ちる場合もあります。
本審査の申し込み方法と審査期間
不動産会社を通して売買契約を締結した場合、本審査申し込みは基本的に不動産会社が主導し行ってくれます。必要な書類を準備し、不動産会社を通して申し込む形が一般的です。
また、審査期間は事前審査よりもチェックが細かくおこなわれるため、1週間~2週間ほどと長くなっています。
本審査で必要な書類
- ・発行後3か月以内の住民票謄本
- ・売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書など
- ・建物、土地の登記事項証明書
- ・(給与所得者)給与明細、賞与明細など
- ・(確定申告者)確定申告書、納税証明書
<事前審査と同じ>
- ・(給与所得者)源泉徴収票など前年度の年収がわかるもの
- ・(個人事業主)直近3年分の確定申告書の写しなど
本審査でチェックされるポイント
本審査は事前審査より細かく厳密な審査が行われます。
事前審査では不要だった売買契約書や重要事項説明書、新築の場合は工事請負契約書などで不動産の価値なども評価されます。
借入額も決定しているため、契約者の年収から返済負担率を計算し、返済リスクの有無の確認のほか、契約者の職種や月収、勤務形態、勤続年数なども加味して審査されます。
また、経営者や自営業の場合、会社の業績も審査項目の対象となるため、経営状況が芳しくない場合はマイナスの評価になることもあります。
本審査に落ちる可能性のある理由
事前審査同様、年齢や健康のリスク
年齢が若く勤続年数が短い場合や月収が低い場合、完済時の年齢が高齢となる場合は事前審査と同じとなっています。具体的には借入時18歳以上で70歳の誕生日まで、完済時が80歳の誕生日までとなっている金融機関もあるため、条件を確認しておくことが重要です。
また、健康面が芳しくないため団体信用生命保険に加入できない場合、団体信用生命保険の加入を条件としている金融機関では住宅ローンを利用することが出来ません。
勤続年数や勤務先
金融機関によっては勤続年数3年未満の場合、過去の勤務先や業種、それぞれの勤務期間や転職理由を求められる場合があります。転職を繰り返していて、職が安定していないなどの場合は注意が必要です。
その他の借り入れ状況
車のローンや教育ローンをはじめ、クレジットのキャッシング枠やリボ払いなどの債務は事前審査でもチェックされますが、本審査ではさらに厳密に審査されます。
また、事前審査同様、ローンの返済に遅延があるなど信用情報に傷がある場合は審査落ちの要因となってしまうため注意が必要です。
経営者や個人事業主の場合は経営状況
金融機関によっては法人代表者や個人事業主は納税証明書を求められます。また、法人代表者の場合は会社の決算報告書も提出しなければならない場合もあります。
会社や事業の経営状況が芳しくない場合などは審査に影響してしまう可能性があります。
本審査に落ちたらどうする?
事前審査(仮審査)は通過したが本審査で落ちるケースも少なくありません。
その場合、事前審査同様に金融機関を変更するか借入条件を見直す必要があります。
金融機関を変更する場合
事前審査は複数申し込みが可能となっているため、事前審査が通過している金融機関に本申し込みをすると通過する場合があります。金融機関は都市銀行、地方銀行、ネット銀行、信用金庫、フラット35のほか公的融資や自治体などもあり、金利やサービスが異なり審査基準も異なっています。
借入条件を見直す場合
借入期間を短くする、頭金を用意して借入額を少なくし返済負担率を下げるなど条件を見直すことで通過する場合があります。
まとめ
以上が住宅ローンにおける事前審査と本審査の違いやタイミングは以上となります。
家探しと合わせて住宅ローンの申し込み手続きなどをサポートしていますので、購入をご検討の際はお気軽にお問い合わせください。
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