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相続する不動産の住宅ローンが残っている場合どうなる?

2023.01.24

マンション一戸建て家を売る相続

「不動産を相続することになったけど、その物件の住宅ローンがまだ完済していない。そういったケースのとき住宅ローンはどうなる?」

住宅ローンを完済していない一戸建てやマンション、土地などの不動産を相続することになったとき、どのようなポイントがあるのでしょうか。今回は確認すべきポイントや流れについてご紹介させていただきます。

団体信用生命保険(団信)に加入しているかどうかを調べる

まずは亡くなった方が住宅ローン契約者の場合、団体信用保険いわゆる団信に加入しているかどうかを調べる必要があります。

団体信用保険の加入の有無は住宅ローンを借り入れしている金融機関で確認できます。

団体信用生命保険(団信)とは?

団体信用生命保険、いわゆる団信とは、住宅ローンの返済中に加入者が死亡したり障害を負った際に、保険金で残りの住宅ローンを弁済する保障制度になります。

多くの金融機関で住宅ローンの借り入れ時に、団体信用生命保険(団信)の加入を要件としているため、大半は団体信用生命保険(団信)に加入しています。

しかし生命保険であるため、年齢制限などの加入条件を満たさなければ入れないため、団体信用生命保険(団信)に加入していない場合もゼロではありません。

※生命保険ではあるもの、保険金の受け取りは金融機関となるため生命保険控除の対象にはなりません

団体信用生命保険(団信)に加入していれば、住宅ローンは保険金で完済される

団体信用生命保険(団信)に加入している場合、加入者が亡くなったら住宅ローン相当の保険金が金融機関に支払われます。金融機関はその保険金を住宅ローンの返済に充てるため、住宅ローンの残金はゼロになり完済となります。

そのため、もし亡くなった名義人が団体信用生命保険(団信)に加入していた場合、住宅ローンの支払いは不要となります。

団体信用生命保険(団信)については以下の記事で詳しくご説明していますのでご参照ください。
コラム:住宅ローン名義人が亡くなったらどうなる?団体信用生命保険の役割について

団体信用生命保険に加入していない場合

加入していなかった場合、住宅ローンは引き続き支払っていく必要があります。
団信未加入だった場合、残っている住宅ローンの相続や支払いについてご説明させていただきます。

住宅ローンなど負の財産の相続はどうなる?

原則、住宅ローンなどの債務も相続する

相続と言えば現金や株式、不動産などプラスの財産の分割をイメージしがちですが、借金や住宅ローンの残債などマイナスの財産も原則は相続しなければなりません。

住宅ローンは法定相続分を当然分割

住宅ローンは遺産分割の対象外となる当然分割に該当するため、住宅ローンの債務は遺産分割協議を経ることなく、法定相続分に従って法定相続人が分割承継されます。

つまり「相続する」を選択した場合、債務は相続人同士の協議の必要なく、相続人がそれぞれ法定相続分の債務を自動的に相続することになります。なお、法定相続分に応じた債務の支払いは原則拒むことが出来ません。

また、遺言書でも住宅ローンなど債務の承継を変更する指定はできません。

例えば、住宅ローンの残金が2,000万円あった場合、子Aと子Bは相続開始の時点で自動的に1,000万円ずつ相続することになります。

仮に子Aが家を相続した場合であっても、子Bは法定相続分の債務を相続することになるため、家を相続した人が住宅ローンを全額引き継ぐわけではない。ということになります。

住宅ローンの返済を一人の相続人に集中させることは出来る?

相続放棄や免責的債務引受などを行えば不可能ではありません。

相続放棄は申告期間がありますので注意が必要です。免責的債務引受は相続人全員の同意はもちろん、債権者となる金融機関の同意も必要となります。

相続放棄

プラスの財産もマイナスの財産も一切を承継しない相続放棄。ひとりの法定相続人を除く全員が相続放棄をすれば、ひとりに資産も負債も相続させることが可能です。

なお、相続放棄は相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申告する必要があります。

免責的債務引受

相続人それぞれ資金力は異なります。資金力のある相続人に住宅ローンの返済を集中させたい場合、その他の相続人と債権者の間で免責的債務引受契約を締結することで、特定の相続人に債務を集中させることが出来ます。

その場合、債権者の同意が必須となりますが、債権者としても取り立ての一本化のメリットがあるため、一本化される相続人の資金が十分と認められれば応じる可能性は十分にあります。

遺産分割協議で一人の相続人が住宅ローンの返済を行うと定めることは可能?

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分割方法を話し合う手続きを言います。
例えば不動産を相続する場合の分割方法などを定めます。

主な不動産の分割方法

現物分割:子Aが不動産、子Bが現金といったように現物をそれぞれが分割する方法。

代償分割:子Aが2,000万円の不動産、子Bが1,000万円の株式と現金を相続し、子Aが500万円の代償金を子Bに支払い、遺産を平等に分割する方法。

換価分割:2,000万円で不動産を売却し、子A、子Bがそれぞれ1,000万円ずつ受け取るといった売却益を分割する方法。

共有分割:不動産を子Aと子Bの共同名義にする方法。

遺産分割協議については以下の記事をご参考ください
コラム:不動産を相続したらどうする?不動産相続の流れと遺産分割方法
コラム:不動産を相続したらどうする?相続物件を売却する手順についてご紹介

不動産を相続する人が住宅ローンを全て支払うよう遺産分割協議で定める

不動産を相続しないのに住宅ローンの支払いを行わなければならないのは、当人としてはいささか不合理に感じてしまいます。

そのため、不動産を相続する人が住宅ローンの支払いをすべて負担すると遺産分割協議で定め、合意するケースは良くあります。

その場合、当事者となる相続人同士では有効な内容となります。

遺産分割協議で定めても支払う義務はなくならない

遺産分割協議で全ての住宅ローンの負担をひとりの相続人が負うことにする。と定めたとしても、債権者である金融機関はその相続人以外の全相続人に対して、それぞれの法定相続分を上限に返済を請求することが出来ます。

つまり、遺産分割協議で明記されていたとしても、それは当人間での合意であり金融機関に対して変更を指定出来るものではありません。

一部負担した分の求債を要求することは可能

1,000万円の住宅ローンの全てを子Aが返済する。と遺産分割協議で定めていたが、子Aの返済が滞ってしまったため金融機関は子Bに一部を請求し、子Bは請求額を支払い返済に充てた。

上記の場合、金融機関に対して子Bは抵抗することが出来ませんが、子Bは子Aに対して負担した額を請求することが出来ます。尚、この負担した額を請求することを求償と言います。

遺産分割協議は金融機関に対して返済の指定を行うことは出来ませんが、求償が可能になるため遺産分割協議の中で債務の負担割合を定めるメリットはあります。

まとめ

相続した不動産の住宅ローンが残っている場合、まずは団体信用生命保険(団信)へ加入しているかどうかを金融機関にご確認ください。

もし加入していなかった場合、住宅ローンの支払いは各相続人が法定相続分を相続することになります。
その際にひとりの相続人に一本化したいなら相続放棄や免責的債務引受を行う必要があります。

不動産を相続した人が返済を全て負担するよう遺産分割協議にて定めた場合、金融機関に対して有効にはなりませんが当事者間では有効。

もし、定めに反して他の相続人が支払った場合、その額を適宜求償で請求することが可能となるため、遺産分割協議で定めるメリットは十分にあります。

家の売却・相続不動産の査定や売却のご要望が御座いましたらお気軽にお問い合わせください。
相談や査定は無料で行っております。

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●団体信用生命保険に関しては以下の記事をご参考くださいコラム:住宅ローン名義人が亡くなったらどうなる?団体信用生命保険の役割について●遺産分割協議や物件査定に関しては以下の記事をご参考くださいコラム:不動産を相続したらどうする?不動産相続の流れと遺産分割方法コラム:不動産を相続したらどうする?相続物件を売却する手順についてご紹介●一戸建てやマンションの売却までの流れは以下の記事をご参考くださいコラム:一戸建てを売却する|売却の流れについてコラム:マンションを売却する|売却の流れや諸費用や税金などの費用について

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