婚姻後、夫婦で築いた財産は離婚する時に半分に分けます。これを財産分与と言います。
持ち家も、どちらかの名義であったとしても、結婚後に購入したマイホームなら夫婦で築いた財産に該当します。
財産分与を行う際、現金は簡単に半分に分けることができますが、家や家財道具などは簡単に半分にすることは出来ません。
今回、離婚時に持ち家を財産分与するポイントやその流れについてご紹介させていただきます。
目次
離婚時の財産はふたりで分ける「財産分与」
財産分与とは?
夫婦で築き上げた財産は、離婚時にそれぞれに分配することを財産分与と言います。
基本的に財産分与は二等分することが多いですが、必ず半分にしなければならないというわけではなく、分配比率はお互い合意の上で自由に決めることが出来ます。
持ち家の財産分与の方法について
離婚時のマイホームの財産分与方法
現金など、簡単に分けることが出来るものと違い、家や車は分けることが出来ません。では、持ち家を分配する方法はどのようなものがあるでしょうか。
今回は4つの方法についてご紹介させていただきます。
(1)一方が所有し、所有しない側が同じ価値相当の現金を得る
(2)ふたりの共有名義として保有しておく
(3)土地をふたつに分けてそれぞれが所有する
(4)家を売って得た売却益を分配する
(1)一方が所有し、所有しない側が同じ価値相当の現金を得る
夫か妻のどちらか一方が家を所有し、所有しないもう一方は不動産価値の半分を代償金として現金で受け取ることで財産分与を行う方法があります。
例えば、不動産価値2,000万円の持ち家を夫が所有することになった場合、妻はその半分の1,000万円を代償金として現金で受け取ることになります。
(2)ふたりの共有名義として保有しておく
夫と妻ふたりの「共有名義」としておくことで、離婚後も二人の財産として保有し続けることが可能です。
ただし、共有名義とした場合、どちらか一方の判断で「人に貸す」「売る」「立て直す・リフォームする」などを行うことが出来ず、必ず相手の同意を得る必要があります。
(3)土地をふたつに分けてそれぞれが所有する
今の家が建っている土地を更地にして、その土地をふたつに分けて所有する「分筆」という方法もあります。
分筆を行うと土地面積が狭くなる・形が悪くなるなどの問題が発生することがあり、その場合当初の不動産価値よりも下がってしまう可能性もあります。
(4)家を売って得た売却益を分配する
持ち家を売却し、現金化することが出来れば、分かりやすく分配することが可能となります。
ただし、住宅ローン残債によっては売却できないケースもあり、また売却が可能な場合でも、売買契約成立までに時間や労力がかかってしまうという特徴があります。
住宅ローンがまだ残っていたらどうする?
返済義務は誰にある?
住宅ローンの返済義務は、住宅ローンの名義人にあります。
なお、住宅ローンの名義人と家の所有者としての名義人は別となります。
本来、住宅ローンは財産分与の対象ではないため、一方のみが名義人の場合、もう一方は支払う必要はありません。しかし、一方だけが負債を抱えてしまうことになるため、実際の財産分与は、負債分を引いて分けるケースが多くなっています。
マイホームの財産分与の場合の選択肢
離婚後のマイホームについて、いくつかの選択肢がありますが、大きく2つに分かれます。
(1)家を売却し、売却益を分配する
(2)家を売却せずに、どちらかが住み続ける
離婚後に持ち家を売却し、売却益を分配する
ポイントは住宅ローン完済
もし住宅ローンを完済していれば、売却して得た売却益を折半することで、分かりやすく財産分与をすることが可能です。一方で、もし住宅ローンがまだ完済できておらず残債がある場合、売却益で住宅ローンが完済できるかどうかがポイントになります。
もし完済できないのであれば、金融機関の抵当権を外すことが出来ないため、家を売ることが出来ない状態となります。今回は家の売却を検討した際のパターンをご紹介いたします。
1.住宅ローンが完済している場合
住宅ローンの支払いを終えていれば、売却して得た現金を折半するだけで済みます。
家を売却して現金化する方法として、仲介業者を通して買いたい人に家を売る方法と、買い取り業者に買い取ってもらう方法があります。
2.住宅ローンが完済していない場合
住宅ローンが完済していない段階で家を売りたいとなった際、自己資金で一括返済したのち、家を売却するか、売却で得た売却益で一括返済するか、どちらかしかありません。
アンダーローンとオーバーローン
家を売却し得たお金でローンを完済できる状態を「アンダーローン」といいます。
家を売却し得たお金でローンが完済できない状態を「オーバーローン」といいます。
オーバーローンでは家を売却できない
家を売却する際、金融機関が設定した抵当権を外す必要がありますが、自己資金と家の売却益で住宅ローンを一括返済できなければ、抵当権を外すことが出来ず売買契約が成立しないため、家を売ることが出来ません。
アンダーローンなら家を売却できる
アンダーローンの場合、家を売って得たお金で住宅ローンを返済し、その他の諸経費を引いた額を分配することでスムーズな財産分与が行えます。
住宅ローン残債がある場合は不動産価値を調べる
売却益が住宅ローンよりも高くなるのか、低くなるのか。離婚時に住宅ローンが残っている持ち家を売る場合にはとても重要になってきます。まずは現在の不動産価値を調べてみてはいかがでしょうか。
離婚後もどちらかが住み続ける
1.住宅ローンが完済している場合
住宅ローンを完済している場合、住み続ける方が家の所有権を得て、もう一方がそれに見合う現金や車などで財産を分ける方法が一般的です。
2.住宅ローン残債があり、住宅ローンの名義人が住み続ける
住宅ローンが残っている状況で、住宅ローンの名義人が住み続ける場合、まず名義人は財産分与として持ち家をもらい受け、住宅ローンを支払いながら住み続けることになるでしょう。
その際、もう一方は代償金として不動産価値の半分を現金などで受け取ることが出来ますが、住宅ローンの支払い負担が名義人のみとなってしまうため、現実には二人で話し合い住宅ローンにあてる財産などを決めていく必要があると思います。
連帯保証人に注意が必要
また、名義人が仮に夫だったとして、妻が連帯保証人だった場合に注意が必要です。
その場合、妻も住宅ローンの返済する責任を免れることは出来ず、また連帯保証人を抜ける事も出来ません。
他の連帯保証人と変わることも実際に可能ではあるものの、他の連帯保証人が資金的に余裕のある状況では無ければいけないため、現実的には非常に難しくなっています。
3.住宅ローン残債があり、住宅ローンの名義人ではない方が住み続ける
たとえば、養育費の代わりに名義人である夫が住宅ローンを払い、妻や子供たちが住むケースがあります。
その場合のリスクとして、もし夫が住宅ローンの支払いが困難となり、返済が滞ってしまった場合、マイホームを差し押さえられてしまう場合があります。
家の名義は住宅ローンの名義とは異なっています
住宅ローンの名義人変更は難しいですが、家の名義人の変更は可能です。
上記の場合で、もし家の名義人が妻ではなく夫となっていた場合、勝手に売却されてしまう可能性もあるため、家の名義人変更は行っていた方がよいかと思います。
また、可能であれば、家のローンの支払いについて公正証書で残しておくと先のトラブルが回避できることもあります。
4.住宅ローン残債はあるが第三者に貸し出したい
もし賃貸物件として収益目的で第三者に貸し出したい場合、ローンの切り替えが必要になります。
住宅ローンとは、そもそも名義人が住む自宅の取得のためと、その用途は限られており、収益物件として運用するとなった場合、住宅ローンの一括返済を求められることもあります。
住宅ローンから、不動産担保ローンへの借り換えを行う必要が高く、その場合月々の返済額は増えてしまう傾向にありますので注意が必要です。
離婚で持ち家を財産分与するときの流れ
1.名義を確認する
持ち家の名義人と住宅ローンの名義人を把握しておく必要があります。
持ち家の名義は法務局で取得できる登記簿謄本(登記事項証明書)で確認できます。
住宅ローンの名義はローン契約書で確認できます。もし紛失していても、金融機関に必要書類を提出すれば再発行することが可能ですので、詳しくは住宅ローンを借り入れている金融機関にお問い合わせください。
2.財産分与の方法を選択する
財産分与の方法は、ふたりでしっかりと話し合あっておく必要があります。
●持ち家の財産分与の方法は4つ
・どちらか一方が所有し、もう一方に代償金を支払う
・共有名義とする
・土地を分ける分筆をする
・家を売却し、売却益を分ける
●家に住み続けるか、売却するかを決める
・名義人が住み続ける
・名義人でない方が住み続ける
・ローンを借り換えし、第三者に賃貸として貸し出す
3.財産分与を行う
住宅ローンが完済している場合は、どのように財産を分けるのかを決める必要があります。
住宅ローンを完済していない場合、誰が住宅ローンを支払うのか、住宅ローン返済もふたりで負担するのか、住宅ローンが完済した後どうするのかなどを定めておく必要があります。
後々のトラブル回避のために公正証書を作成することもご検討ください。
離婚で持ち家を売却するときの流れ
まず、持ち家の売却は家の名義人しか行うことが出来ません。また、住宅ローン残債がある場合は、事前に金融機関にもご相談してください。
持ち家を売却する際の大きな流れは以下になります。
持ち家を売却するときの流れ
1.売却相談し査定を実施する
2.売却活動を依頼する不動産会社を選ぶ
3.媒介契約を締結する
4.販売活動の開始
5.売買契約を締結する
6.決済と引渡し、住宅ローン残債がある場合は住宅ローン残債の支払いを同日に行う
まとめ
離婚する際のマイホームの財産分与のポイントは以下となります
・住宅ローン残債があるかどうかが重要
・住宅ローンは住宅ローンの名義人が支払う
・売却を行うには売却益でローン完済を行う必要がある
財産分与の流れ
1.名義を確認する
2,財産分与の方法を選択する
3.財産分与を行う
後々のトラブル回避のために、事前に明確にしておくことが重要です。
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