「不動産を相続したけど売るにはどうすればいい?」
「相続した実家を売却したい」
不動産の相続や、相続物件の売却は何度も経験するものではありません。そのため、いざその時が来ても分からないことが多くあります。今回は不動産を相続したとき、相続した不動産を売却する手順や流れのポイントについてご紹介させていただきます。
目次
不動産を相続したらどうする?
相続した不動産を売却するときの基本的な流れ
- (1)相続人同士で遺産の分け方を決める遺産分割協議
- (2)相続物件の名義変更
- (3)相続不動産の売却活動
- (4)現金を分割し、支払を行う
相続した不動産の売却完了までの大まかな流れは上記(1)~(4)となります。
まずここでは、自分自身が相続人かどうかの確認方法や、(1)の遺産分割協議を行う必要があるかどうかについて簡単にご説明させていただきます。
相続人を決める相続順位について
民法で定められた、遺産相続が出来る者の順番を相続順位と言います。なお、配偶者は常に相続人となるため、相続順位は配偶者以外に相続することが出来る者の順番となります。
順位は以下の通りと第1順位・第2順位・第3順位に分かれます。
そして、相続人は第1順位がいれば第1順位。その場合、第2順位・第3順位は相続人にはなれません。
逆に第1順位がいなければ第2順位が相続人となり、第1順位、第2順位がいなければ第3順位が相続人となります。
- 第1順位:子(子が死亡の場合は孫、ひ孫など)
- 第2順位:父母や祖父母
- 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡の場合は甥・姪など)
相続人の数と相続方法を確認する
1人が単独相続する
すべての遺産を一人が相続する単独相続。法定相続人が一人しかいない場合のほか、相続放棄をして一人となった場合や、遺言や遺産分割で一人がすべてを相続するケースが該当します。
単独相続の対照的な言葉として、2人以上で遺産を相続する共同相続があります。
2人以上の相続人が現物分割する
遺産を現金化せず、現物を資産の種類ごとにそのまま分割する方法を現物分割といいます。
例えば、自宅(不動産)を配偶者、預貯金を長男、車と株式を長女が相続する。といったように現物をそれぞれが相続する方法です。
現物分割のメリット・デメリット
メリットは手続きがとてもシンプルで、土地や車を売却する必要がありません。デメリットは種類によって金額に偏りが出るため、不公平になりやすい点があります。
2人以上の相続人が代償分割する
代償分割は現物分割の不公平を取り除くため、分割しにくい財産を相続した人が、相続しなかった人に対して差額を現金で支払う方法になります。
例えば、評価額3,000万円の自宅(不動産)を配偶者、1,000万円の預貯金を長男が相続した場合、配偶者は1,000万円現金で長男に支払うことで、配偶者(3,000万円―1,000万円=2,000万円)・長男(1,000万円+1,000万円=2,000万円)と双方2,000万円ずつ相続することになります。
代償分割のメリット・デメリット
代償分割も不動産を売却しなくてもよいというメリットがあります。一方で現金で支払う必要があるため、現金を支払う相続人は一定以上の資金力が必要になります。
2人以上の相続人が換価分割する
換価分割とは、不動産などを売却し現金にかえてから分割する方法となります。
例えば、評価額3,000万円の自宅を3,000万円で売却し、妻・長男・長女それぞれ1,000万円ずつ分割する、という形になります。
換価分割のメリット・デメリット
メリットは現金化した後、配分するため公平に分割することができます。
一方でデメリットは、思い入れのある実家の売却を行わなければならない点の他、売却における手間や手数料、売却益を得た場合には所得税などの税金の支払いを行わなければならない等があります。
相続物件の売却の流れ
(1)遺産分割協議
法定相続人が相続財産について話し合うことを遺産分割協議と言い、上記で明記した遺産分与の方法などを定めていきます。
すべての財産を目録にまとめ、有効な遺言状がある場合は遺言状に従って分割します。遺言が無い場合、遺産は法定相続人全員の共有財産となり、遺産分割協議に基づいて分割することになります。
話し合いがまとまると、証拠として残しておくために遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は相続登記で必要となりますので、不備が無いよう専門家に作成を依頼するケースも多くあります。
●遺産分割協議書に必要な記載事項
- ・被相続人の名前、住所、死亡日
- ・相続人全員が合意している旨
- ・相続財産の具体的な内容
- ・相続人全員の名前、住所、実印の押印
(2)相続登記:法務局へ
次に、相続した不動産の所有権を相続人に変更するため相続登記を行います。不動産の登記上の名義人を変更しなければ、売却することは出来ないため、相続登記は必須となります。
相続登記の申請は不動産所在地の法務局となります。手続き等に関して司法書士に委任することも可能となります。
●相続登記に必要な書類
- ・登記事項申請書
- ・遺産分割協議書及び相続人全員の印鑑証明書
- ・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本
- ・被相続人の住民票の除票
- ・相続人全員の戸籍謄本
- ・相続関係説明図
- ・固定資産評価証明書
- ・相続登記申請書
(3)売却活動
相続登記が完了し、名義人が変更されたら売却活動を行うことが可能となります。
不動産会社に販売活動を委託する場合、媒介契約を締結した後、販売活動が開始されます。
媒介契約については以下の記事をご参考ください。
コラム:媒介契約の種類「専属専任」「専任」「一般」違いとメリット・デメリット
尚、不動産会社探しですが、当社では相続が決まった時点からご相談いただくことで、提携の司法書士のご紹介や売却に向けた様々な支援を同時進行で行うことが可能となっております。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
売却活動及びその流れについては以下の記事をご参考ください
コラム:一戸建てを売却する|売却の流れについて
コラム:マンションを売却する|売却の流れや諸費用や税金などの費用について
(4)現金を分割(換価分割を選択時)し支払いを行う
換価分割を選択している場合、不動産の売却で得た売却益を相続人で分割します。
尚、売却時に発生する主な諸経費は以下の通りです。
印紙税
売買契約書に貼る印紙。費用は売買価格により変動
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼している場合、売買契約成功時の成功報酬として手数料を支払います。手数料には上限が定められており400万円超えの売買価格の場合、「物件売買価格×3%+6万円(税別)」で計算することが出来ます。
登記費用(抵当権抹消費用、司法書士報酬)
住宅ローンを売買契約時に完済する場合は、銀行が設定した抵当権を抹消する登記作業(抵当権抹消登記)が必要になります。個人でも出来ますが、手続きが煩雑なため多くの場合司法書士に依頼されています。
譲渡所得税(所得税・住民税)
売却益(譲渡所得)が発生した場合には税金を納める必要があります。
その他場合によって発生する諸経費
- ・住宅ローン繰り上げ返済手数料
- ・測量費用
- ・ハウスクリーニングやリフォーム費用
- ・建物解体費用
- ・残置物処分費用
- ・引越し費用
売却時の諸費用について詳しくは以下の記事をご参考ください。
コラム:家を売るときに必要な諸費用について
まとめ
相続物件を売却する際は、事前に相続人同士しっかりと話し合いを行うことが重要です。
また、売却活動を開始してすぐに売却完了とならないケースが多く、また売却活動時には内覧対応なども必要となってまいります。
不動産会社へは、登記変更後よりも前段階となる「相続することが決まった時点」でご相談いただくことで、様々なご支援が可能と考えています。
不動産売却をご検討になった際は、お近くの福屋不動産販売までお気軽にご相談ください。