定年退職後のセカンドライフを充実させるための資金調達方法として、近年様々な商品が出てきている「リースバック」。
持ち家を売却して資金を得る方法のひとつではあるものの、実際にはどのようなモノなのか、メリットやデメリットはあるのかなど、具体的なことがイマイチ把握できていない方も多くいらっしゃいます。
今回はシニア世代が老後のための資金を確保する方法や、リースバックの概要やメリット・デメリットなどについてご紹介させていただきます。
目次
リースバックとは?
リースバックとは「自宅を売却し賃貸として借りて住む」仕組み
リースバックは「セール&リースバック」と呼ばれており、自宅を売却したのち賃貸として借りて住み続ける仕組みを指しています。
リースバックは近年、老後資金の調達方法や相続を見据えた財産整理などの目的として、不動産会社や金融機関からシニア世代向けの様々な商品やプランが出てきています。
リースバックを検討する場合
リースバックは引越しなどの手間もなく、自宅にそのまま住み続けられ、売却で資金を得ることもできる便利な仕組みです。しかし、所有している不動産を売却することになるため、しっかりと仕組みやメリット・デメリットを理解することが大切です。
リースバックを検討する場合、リースバック以外の自宅を活用した資金調達方法も合わせて比較・検討することが大切です。
老後のための資金調達方法とは?
住宅ローンの支払いを終えた自宅をもとに資金を得る方法はいくつかあります。
ここでは4つの方法についてご紹介いたします。
リースバック
自宅を売却して資金を得る方法です。住宅ローンを完済する必要があります。
- ・自宅の所有権は無くなります
- ・得た資金の用途は自由です
- ・売却はリースバック提供企業となるためスムーズです
- ・月々の家賃の支払いが発生し、固定資産税の支払いは無くなります
- ・賃貸契約に期限を設けられている場合があります
- ・近隣に知られることなく売却でき、引越しも不要です
家を売る
自宅を売却して資金を得る方法です。住宅ローンを完済する必要があります。
- ・自宅の所有権は無くなります
- ・得た資金の使用用途は自由です
- ・売却活動を開始し成約するまでに一定の時間がかかります
- ・売却後の次の転居先を見つける必要があります
- ・新居の家賃や新居の住宅ローンの返済費用が発生します
- ・新居の住宅ローンや賃貸借契約が出来ない場合があります
- ・売却成約時に住宅ローンを完済する必要があります
不動産担保ローン
自宅を担保に資金を得る方法です。金融機関からの借り入れとなり、返済は毎月元本+利息を返済していきます。ローンのため審査や条件があり、返済が滞ってしまった場合は家を手放す可能性もあります。
- ・自宅の所有権はそのままです
- ・融資の使用用途は自由です
- ・融資には審査や条件があります
- ・毎月元本+利息の返済があります
- ・ローン審査に落ちると利用できません
リバースモーゲージ
不動産担保ローンと同様に、自宅を担保に資金を得る方法ですが。月々の支払いは利息のみとなります。契約者が亡くなったとき、家を売却して一括返済する仕組みです。
- ・自宅の所有権はそのままです
- ・資金は借入限度額を上限に、定期的に融資として受け取ります
- ・得た資金の使用用途は制限があります
- ・そのまま住み続けることができます
- ・長生きするほど借入額が増え上限に近くなります
- ・死亡などで契約が終了したら自宅の売却などで一括返済します
- ・契約者が死亡時、配偶者への引継ぎが可能なプランもあります
リースバックとその他の比較
自宅の 所有権 |
債務 | 使用用途 | 月々の 支払 |
概要 | |
---|---|---|---|---|---|
リースバック | × | なし | 自由 | 家賃 | 家を売って、 賃貸として、 借りて住み続ける。 |
自宅の売却 | × | なし | 自由 | 新居 | 家を売る。 |
不動産 担保ローン |
〇 | あり | 自由 ※プランによる |
元本+利息 | 家を担保に融資を受ける。 毎月返済を行っていく。 |
リバース モーゲージ |
〇 | あり | 条件あり ※事業用NG等 |
利息のみ | 家を担保に融資を受ける。 契約者が亡くなったら、 不動産売却で元本一括返済。 |
それぞれに特徴やメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況や必要資金に応じて検討することが大切です。
リースバックを検討するケース
リースバックをご検討される方々はどのようなシーンで検討されているのでしょうか。
資金調達の目的はどのようなケースがあるのか、簡単にまとめさせていただきました。
老後の生活費や事業資金の調達のため
令和3年簡易生命表によると日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳※1となっています。定年を迎える60歳、65歳のシニア世代は、定年後の10年20年をどう過ごしていくのか、老後のライフプランを考えなければなりません。
※1 令和3年簡易生命表:日本人の平均寿命より
たとえば、マイホームの住宅ローンは完済したけれど、収入が減ってしまうため生活費に不安がある。そのようなケースで老後の資金を確保するためにリースバックを利用するケースがあります。
また、リースバックで調達した資金の用途は自由なため、定年後のセカンドライフとして新たな事・新たな事業にチャレンジする。そのための資金調達としてご活用されるケースもあります。
住宅ローンの返済やその他のローンの返済のため
月々のローン返済が家計を圧迫している場合、リースバックによって得た資金を住宅ローンやその他の債務の返済に充てられるケースがあります。
住宅ローンなど、債務の完済を目的とした場合、家を売却した後に家賃の支払いが発生するため、月々のローン返済額とリースバック後の家賃支払い額を比較し検討することが重要になります。
相続資産の整理のため
もしもの時に備え、不動産を残しておくのではなく、家を売って現金化しておくことで相続人が均等に分配できるようにしておくためにリースバックをご活用されるケースもあります。
また自宅を相続した後、住み続ける人がいない場合、相続人が自宅を売却する手間を省くために売却しておくケースもあります。
リースバックを利用するメリット
短期間で資金調達が可能
通常の売却は買主を探すところから始めるため、売却完了までに一定期間必要になってしまいます。
しかし、リースバックはリースバックの提供業者が買い取るため、短期間で売却が完了し資金を得ることが出来ます。
売却を知られることなく完了できる
通常の売却であれば不動産流通機構へ登録を行うケースが多く、売り物件として情報が出てしまう可能性があります。
リースバックであれば、それらの情報が出ることがないため、知られることなく売却を完了させることが出来ます。
引越しや仮住まいの手配が不要
家を売ってもそのまま住み続けるため、通常の住み替えで必要な仮住まいや、売却時に必要な転居先探しや引越しの手間が不要です。自宅にそのまま住み続ける事が出来るため、生活環境の変化などもありません。
固定資産税などの出費がなくなる
所有権を移転するため、固定資産税の支払いは無くなります。
リースバックを利用するデメリット
家賃の支払いが発生する
売却後は賃貸契約を結び、家賃を支払って住むことになるため、これまでになかった家賃の支払が発生します。事前の資金計画でしっかりと検討しておくことが重要です。
通常の売却の方が高く売れる可能性がある
通常の売却は市場の相場を見定めたうえで、その中でも出来るだけ高値で売れるよう時間をかけて売却活動が行われます。
一方でリースバックは、買取後に一定期間賃貸として貸し出し家賃収入を得ることを前提として利益を上げなければならないため、利回りを考慮した結果、通常の売り出し価格より低い買取価格となってしまうことがよくあります。
借りられる期間が定められている場合がある
賃貸借契約において、その期間を設定する定期借地契約というものがあります。その契約を結ぶ場合、契約期間終了時点で貸主と借主が再契約の合意を結ばなければ再契約は行えませんので、先の事を考えた上で契約内容を検討する必要があります。
家を売って資金調達、リースバックと通常の売却どっちがいい?
家を売って資金を調達する場合、どちらの方がいいのか。
その判断を行うためには、リースバックと通常の売却それぞれにメリットやデメリットがありますので、それを理解しておく必要があります。
リースバックを選択する場合
リースバックのメリット
新居探しや引越しなどの手間がない。環境変化のリスクもない。短期間で資金調達が出来る。などのメリットがあります。
リースバックのデメリット
売却価格が少なくなってしまう可能性や賃貸借契約に期間が定められる場合などがあります。
通常の売却を選択する場合
通常の売却のメリット
リースバックよりも高値で売れる可能性があります。シニアの住まいに適した新居へ引っ越すことが出来るなどのメリットもあります。
通常の売却のデメリット
リースバックに比べて時間がかかり、新居探しや引越しなどの手間もかかります。
老後の資金を確保するための方法は様々です。
それぞれの商品やサービスなどを検討する必要があります。
リースバックや家の売却をご検討なら一度、お気軽にご相談ください。
まとめ
シニア世代が充実した生活を送るために、自宅を活用した資金調達方法は色々とあります。
すべてにメリットとデメリットがあるため、この先10年20年のライフシミュレーションはとても重要です。
福屋不動産販売では、住宅の売却はもちろん提携業者と連携したリースバックも行っています。
どちらがいいかわからない。色々と相談したい。
そのような際はお気軽にお問い合わせください。
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